激甚災害の指定により、住宅金融公庫の融資額が、耐火構造で660万、 木造で580万と決められ有利な条件であるが、返済の困難を考え県と市が協力し、 被災住宅の復興促進と被災者の負担軽減を図るため、 災害認定交付者(847名)を対象に、大幅な利子補給をすることになった。
商店は150m2、住宅は120m2を限度とし、 利子補給対象額の限度は、耐火構造で400万、木造で180万とし、 利子補給率は2.9%を5年間続けることになった。 この所要額は約4億円となり、県が4分の3、市が4分の1を負担することになった。

建築申請が出されると1戸当たり宅地平均面積が約215m2の土地だけに、 隣家との空間が少なく、日照通風に問題が残りそうで、市は8月26日に 「住宅建設は隣近所相談して……」と題する復興速報(No.26)を新聞折り込みで配った。 その中で建築確認の申請書類から判断すると各街区ともに隣家の情況が わからないままに間取りを計画しているようで、住宅完成後、

  1. 玄関または座敷の窓の正面に隣家の便所の窓や、くみ取り口が面して不便(水洗化は60%程度)
  2. 寝室のわきが駐車場で安眠できない
  3. 隣家の窓と窓がつき合わせることになり、どちらかに目かくしが必要
  4. 隣家の換気の位置に座敷の窓が面し、におい、不快音がくる
  5. 通用口として計画した道路が隣家の座敷、寝室などに面し、目かくしのため高いへいが必要

などが予想され、それを避けるためにお互いに隣同士で、 どんな間取りでいつ建てるのか十分検討を重ね、あとで問題を起こさない住宅、 商店を建設し、更に共同で街づくりをするという積極的な協力を住民に呼びかけた。 その具体的な方法として、確認申請の出された間取りを次々と市の方で街区毎に図面に明示し、 誰にでも公開し、あとで建設する施主と設計者の設計計画、 隣家との調整に利用してもらうことにした。