更新日:2024年3月15日
早朝、東京都墨田区の八角部屋。
「バチッ」「ザッザッ」体同士がぶつかる音、土を擦る足の音。
朝の光が差し込む稽古場に力士たちの熱気を帯びた息遣いが聞こえます。
兄弟子とのぶつかり稽古に何度も挑む姿。本市出身の力士、北の若関です。
令和3年12月1日に行われた番付編成会議で十両昇進が決まりました。
角界入りから3年。「今までの人生で一番濃い3年間だった」と振り返る北の若関。
「入門して1年くらい経ったころ、稽古中に本気で親方に叱られたことがあります。アマチュアのころから自分は相手を投げて勝てると思っていましたが、親方は『前に出ろ。もっと上に行ったときに大きい相手との取り組みで怪我をして負けてしまう』と叱ってくれました」。親方の言葉通り、プロの土俵上では通用しないということを痛感し、そこから前に出て押す相撲を心掛けるようになったそうです。
稽古を重ねて迎えた先場所の千秋楽。「親方の言う、前に出る相撲を取って勝てました。千秋楽の相撲が一番よかったと親方から言ってもらえたのがうれしかったです」と、努力が実を結び、先場所で一番心に残る一番になったと話してくれました。
目指す力士像を問うと「土俵の上でも外でも『力士』であることを心掛けたいです。また自分たちが身につけるものや髷など、取り組み以外のことも全てが『相撲』であることをいろいろな方に知ってほしいです」と「力士」である誇りを持ちながら、相撲道にまい進する心構えを語ってくれました。
地元でも待望の十両昇進。「スタートラインに立ててほっとしました。十両に昇進したことで、酒田の皆さんからもテレビで自分の取り組みを見てもらえるところまできました。皆さんに映像でも自分の姿を見てもらい元気になってもらいたいです」と話します。また「少しでも時間を作って酒田の子どもたちに相撲を好きだと思ってもらえる機会を作れればと思っています」と、地元での相撲普及への思いも覗かせます。
十両昇進で期待と不安のどちらが大きいか聞くと「期待のほうが大きい。何もかもが初めてなので楽しみにしています。これまで以上に生活、所作といったものを整えて、思い切った相撲がとれるようにしたいです」そう語るまなざしは稽古中同様、真剣ながらとても輝いていました。
新十両となり初めて迎える令和4年1月場所。ひたむきに、前へ、前へ。北の若関のさらなる挑戦は続きます。
兄弟子の胸を借りぶつかり稽古。ふらふらになりながらも声を出して自分を鼓舞し、何度も食らいつく姿が見られた。
稽古後、大粒の汗を流し全身砂まみれの姿に。
令和3年12月17日(金曜)、十両昇進の報告に本市を訪れた八角親方と北の若関。多くの市民が待ち受け、正面玄関では酒田舞娘から花束が手渡された。
八角親方は「上位に行くほど取り組みは厳しいと思うが、そのためには稽古しかない。北の若は努力できる力士。地元の皆さん応援よろしくお願いします」と述べた。
本名 齋藤大輔。本市出身の大相撲力士。第一中学校を卒業後、強豪埼玉栄高等学校へ進学し3年次には高校横綱に輝く。平成31年に八角部屋へ入門、同年3月初土俵。令和4年1月場所より十両昇進が決定している。
酒田市民の皆さんへのメッセージと令和4年1月場所への意気込みを話してくれました。
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