○酒田地区広域行政組合火災調査規程
(令和2年12月11日組合訓令第6号)
改正
令和4年9月20日組合訓令第5号
令和5年12月21日組合訓令第10号
酒田地区広域行政組合火災調査規程(平成9年組合訓令第1号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条・第2条)
第2節 火災の基準(第3条-第6条)
第3節 調査の区分(第7条)
第4節 調査の体制(第8条-第11条)
第5節 調査上の心構え(第12条)
第2章 原因調査
第1節 通則(第13条・第14条)
第2節 現場保存(第15条-第17条)
第3節 火災の調査(第18条-第21条)
第4節 児童等に対する調査(第22条・第23条)
第5節 原因の判定(第24条)
第3章 損害調査(第25条-第28条)
第4章 照会及び調査資料(第29条-第32条)
第5章 調査報告(第33条)
第6章 り災の証明(第34条)
第7章 火災の報告及び回答(第35条・第36条)
第8章 雑則(第37条-第39条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(趣旨)
第1条
この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条
調査は、火災の原因並びに火災及び消火により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
第2節 火災の基準
(火災の定義)
第3条
火災とは、人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象をいう。
(火災件数)
第4条
火災の件数は、原則として一つの出火点から拡大したもので、出火に始まり鎮火するまでを1件とする。
(火災の種別)
第5条
火災の種別は、次の各号に掲げるものとし、その内容はそれぞれ当該各号に定めるものとする。
(1)
建物火災 建物又はその収容物が焼損した火災をいう。
(2)
林野火災 森林、原野又は牧野が焼損した火災をいう。
(3)
車両火災 自動車車両、鉄道車両若しくは被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいう。
(4)
船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。
(5)
航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。
(6)
その他の火災 前各号に掲げる火災以外の火災をいう。
2
火災の種別は、前項各号の火災が複合するときは、焼き損害額の大きいものの種別による。
ただし、火災の態様により焼き損害額の大きいものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。
(焼損程度)
第6条
建物の焼損程度は、次の各号に掲げるものとし、その内容はそれぞれ当該各号に定めるものとする。
(1)
全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。
(2)
半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。
(3)
部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。
(4)
ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満のもので焼損床面積若しくは焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみ焼損したものをいう。
第3節 調査の区分
第7条
調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2
火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1)
出火前の状況
(2)
出火原因
(3)
発見、通報及び初期消火等の状況
(4)
延焼状況
(5)
避難状況
(6)
消防用設備等の状況
(7)
死傷者の状況
(8)
その他必要な事項
3
火災損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1)
焼き損害 火災によって焼けた物及び熱によって破損した物等の損害
(2)
消火損害 消火活動によって受けた水損、破損、汚損等の損害
(3)
爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた前2号以外の損害
(4)
火災による死傷者
第4節 調査の体制
(調査の責任)
第8条
消防長は、調査の責任を有する。
(調査の主体)
第9条
調査の主体は、予防課長又は消防署長(以下「予防課長等」という。)とする。
(調査体制の確立)
第10条
消防長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しなければならない。
(調査本部の設置)
第11条
消防長は、大規模特異火災の発生時に、調査を機動的かつ効果的に実施するため、特に必要があると認めるときは、調査本部を設置することができる。
第5節 調査上の心構え
(常時の心得)
第12条
調査に従事する職員(以下「調査員」という。)は、火災現象、関係法令その他調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1)
調査員相互の連絡を図り、調査業務を円滑に進行するよう努めること。
(2)
調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないよう努めるとともに、個人の自由及び権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らさないこと。
(3)
警察機関その他の関係機関と緊密な連絡をとり、相互に協力して調査に当たること。
第2章 原因調査
第1節 通則
(調査の原則)
第13条
調査は、事実の確認を主眼とし、先入観にとらわれることなく、科学的な方法による確認及び合理的な判断により、事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
第14条
火災に出動した職員は、火災現場において火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、関係者の言動等を見分したときは、現場指揮者に報告しなければならない。
2
調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。
この場合、原則として関係者等の立ち会いのもとに行うものとする。
3
火災状況の見分は、その内容を明確にするため、図面及び写真により記録するよう努めなければならない。
4
調査員は、実況見分、関係者等に対する質問等による事実に基づき、現場の復元を行うよう努めなければならない。
第2節 現場保存
(消防活動中の現場保存)
第15条
消防隊員は、出火場所及びその付近に細心の注意を払い、調査に支障のないよう現場の保存に努めなければならない。
2
消防隊員は、消防活動のためやむを得ず出火場所及びその付近の物件を移動し、又は破壊しようとするときは、原状が分かるよう必要な措置を講じなければならない。
(消防活動後の現場保存)
第16条
現場指揮者は、消火活動が終了したときに現場保存区域として、次に掲げる基準により現場を保存しなければならない。
ただし、警察機関その他の関係機関により現場保存がなされている場合、又は調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(1)
警察官等と協議して決定すること。
(2)
必要最小限度の範囲にとどめること。
(3)
縄張り又は張札等で表示すること。
2
現場保存区域は、関係者であってもみだりに出入りさせてはならない。
3
現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮小し、解除するものとする。
(死者の取扱い)
第17条
消防隊員は、火災現場において死者を発見したときは、速やかに現場指揮者に報告しなければならない。
2
前項の報告を受けた現場指揮者は、警察官に通報するとともに、その現場の保存に努めなければならない。
第3節 火災の調査
(調査記録)
第18条
予防課長等は、火災調査の結果を火災調査報告(様式第1号)により消防長に報告しなければならない。
2
前項の火災調査報告には、次に掲げる書類(以下「報告書」という。)を添付するものとする。
(1)
火災調査報告書(様式第2号)
(2)
火災の概要書(様式第3号)(様式第3号の2)
(3)
火災原因判定書(様式第4号)
(4)
実況(鑑識)見分調査書(様式第5号)
(5)
質問調査書(様式第6号)
(6)
出火出動時における見分調査書(様式第7号)
(7)
現場図面(様式第8号)
(8)
現場写真(様式第9号)
(9)
出動車両及び人員書(様式第10号)
(10)
火災調査書(様式第11号)
(11)
死者の調査書(様式第12号)
(12)
り災申告書(様式第13号~様式第13号の4)
(13)
その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料等
3
予防課長等は、火災の状況又は程度により、前項に規定する書類の一部を省略することができる。
この場合において、火災原因判定書(様式第4号)及び実況(鑑識)見分調査書(様式第5号)を省略する場合は火災の概要書(様式第3号の2)を作成するものとし、実況(鑑識)見分調査書に写真を貼付し、実況見分又は鑑識見分を記載した時は、現場写真(様式第9号)を省略できるものとする。
4
第2項各号の報告書の作成者は、予防課長等が調査員のうちから指名する者(以下「調査担当者」という。)とする。
(質問)
第19条
調査員は、関係者に質問し、火災の原因判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
2
調査員は、前項の規定により質問を行うときは、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1)
親切を旨とすること。
(2)
時機を失することなく任意の申述を得るよう努めること。
(3)
みだりにその申述を誘導しないこと。
(4)
伝聞による申述を排除し、事実の申述を得るよう努めること。
3
調査員は、質問を行った場合は、質問調査書(様式第6号)を作成するものとする。
この場合において、調査員は、質問調査書に申述内容を正確に記録しなければならない。
(図面及び写真)
第20条
調査員は、見分内容を明確にするため、図面及び写真により記録しなければならない。
2
前項に定める写真は、電磁的方式で記録されるものとする。
3
電磁的方式で記録された画像は、修正してはならない。
(防火管理状況の調査)
第21条
調査員は、法第8条に規定する防火対象物にあっては、防火管理の状況を調査するものとする。
第4節 児童等に対する調査
第22条
児童等に対する調査とは、次に掲げる者に対する調査をいう。
(1)
児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する満18歳に満たない者
(2)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条に規定する精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又は当該能力が著しく不十分な者
(3)
視聴覚機能に障害を有する者
2
調査員は、児童等に対して調査を行うときは、児童等の特性を十分に理解し、言動に注意しその心情を傷つけないように努めなければならない。
3
調査員は、前項の規定による調査を行うに当たって必要があるときは、警察機関、児童相談所、学校その他の関係機関と連絡を密にして行わなければならない。
(保護者等の立会い)
第23条
調査員は、前条に規定する児童等に質問し、又は現場見分の立会人とするときは、保護者、教師、保護司等の立会いのもとで行わなければならない。
2
児童等の質問調査書には、立ち会った保護者、教師、保護司等の住所、氏名等を記載するものとする。
第5節 原因の判定
第24条
火災の原因は、実況見分、出動時の見分、関係者等の申述、実験その他関係資料を総合的に検討し、科学的に考察して判定しなければならない。
2
前項の規定による火災の原因の判定には、総合的結論及び原因判定の経過を系統的かつ明確に記載し、それぞれの事実を論理的に立証する証拠資料を明示するものとする。
第3章 損害調査
(り災申告書の提出)
第25条
予防課長等は、調査上必要があるときは、り災者その他関係者にり災申告書の提出を求めることができる。
2
前項のり災申告書の提出があったときは、申告内容を審査し受理するものとする。
(損害額の決定)
第26条
予防課長等は、調査により把握した、り災物件及びり災申告書を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。
2
り災物件の損害額は、り災した時点における時価又は原価により算出する。
(り災程度の区分)
第27条
建物(収容物を含む。以下この条において同じ。)のり災程度は、次の各号に掲げるものとし、その内容はそれぞれ当該各号に定めるものとする。
(1)
全損 建物の火災損害額が、り災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの
(2)
半損 建物の火災損害額が、り災前の建物の評価額の20パーセント以上であって、全損に該当しないもの
(3)
小損 建物の火災損害額が、り災前の建物の評価額の20パーセント未満のもの
(死傷者の調査)
第28条
予防課長等は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査しなければならない。
第4章 照会及び調査資料
(官公署への照会)
第29条
消防長は、法第32条第2項の規定により官公署に対し必要な事項の通報を照会するときは、火災調査事項照会書(様式第14号)により行うものとする。
(資料の収集)
第30条
消防長は、調査のため必要と認めるときは、関係のある者に対し、任意での資料の提出又は報告を求めることができる。
2
消防長は、前項の規定による資料又は報告の確保が困難であると認めるときは、法第32条第1項又は法第34条第1項の規定により資料の提出を命じ、又は報告を求めるものとする。
この場合において、資料の提出の命令は資料提出命令書(様式第15号)により、報告の求めは報告徴収書(様式第15号の2)によるものとする。
3
消防長は、調査のため資料の提出を求め、又は命じたときは、併せて調査資料提出書(様式第16号)の提出を求め、所有権放棄の有無を確認しておかなければならない。
4
予防課長等は、提出された資料について、資料保管台帳(様式第17号)に必要な事項を記載し、資料の証拠価値を毀損しないよう細心の注意を払い、慎重に保存しなければならない。
(鑑定)
第31条
予防課長等は、前条の規定により提出された資料について、火災原因調査に必要があるときは、公的機関に鑑定を依頼することができる。
(被疑者への質問及び押収物件の調査)
第32条
消防長は、法第35条の2の規定による調査をするときは、質問・証拠物件の調査要請書(様式第18号)により警察署長に調査を要請するものとする。
第5章 調査報告
(報告期限)
第33条
調査担当者は、原則として火災覚知の日から起算して60日以内に報告書を作成し、遅滞なく予防課長等へ提出しなければならない。
2
予防課長等は、前項で提出された報告書について速やかに消防長へ報告しなければならない。
3
調査担当者は、第1項に規定する期間内に報告することができないときは、あらかじめその理由を予防課長等に報告しなければならない。
第6章 り災の証明
(り災証明書の交付)
第34条
消防長は、管轄区域内における火災のり災者から証明交付申請書(様式第19号)により申請があったときは、り災の証明を行うことができる。
2
前項の証明は、り災証明書(様式第20号)により証明するものとする。
3
第1項のり災証明は、原則として現場見分が終了するまでは行ってはならない。
4
申請者は、り災物件の所有者、管理者、占有者、担保権者又はその他消防長が認める者とする。
5
前項に掲げる者以外の者が申請を行う場合は、委任者自筆の委任状を提出させるものとする。
6
消防長は、申請書が提出されたときは、その内容を審査し、第2項に定めるり災証明書を速やかに交付しなければならない。
第7章 火災の報告及び回答
(火災報告)
第35条
消防長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定により消防庁長官が求める火災報告については、火災報告取扱要領(平成6年消防災第100号。以下「要領」という。)に定める期間内に報告するものとする。
2
前項の報告は、要領の火災四半期報に基づき予防課長が行う。
(火災原因に関する回答)
第36条
消防長は、火災原因その他の調査事項について、警察機関、その他の関係機関及び関係者から照会があったときは、その内容、目的、その他必要な理由について審査の上、必要と認められる事項に限り回答することができる。
2
消防長は、前項の規定により回答するときは、酒田地区広域行政組合情報公開条例(平成20年組合条例第3号)及び酒田地区広域行政組合個人情報の保護に関する法律施行条例(令和5年組合条例第2号)の規定に基づき回答するものとする。
第8章 雑則
(広報)
第37条
火災調査に関する住民及び報道機関への発表は、広報活動による被害抑制の効果を踏まえ、積極的に行うものとする。
2
前項の発表は、消防長若しくは予防課長等又はその指定する者が行うものとする。
(書類の管理保存)
第38条
消防長は、火災調査に関係する書類について、酒田地区広域行政組合文書分類の規定に基づき、適正に管理保存するものとする。
2
電子計算機で作成した火災調査に関係する書類は、原則として当該データを出力して紙媒体により管理保存するとともに、電磁的記録媒体を用いて複製を保存するものとする。
(その他)
第39条
この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附 則
この訓令は、令和3年1月1日から施行する。
附 則(令和4年9月20日組合訓令第5号)
この訓令は、令和4年9月20日から施行する。
附 則(令和5年12月21日組合訓令第10号)
この訓令は、令和6年1月1日から施行する。
様式第1号(第18条関係)
火災調査報告
様式第2号(第18条関係)
火災調査報告書
様式第3号(第18条関係)
火災の概要書
様式第3号の2(第18条関係)
火災の概要書
様式第4号(第18条、第24条関係)
火災原因判定書
様式第5号(第14条、第18条関係)
実況(鑑識)見分調査書
様式第6号(第18条、第19条関係)
質問調査書
様式第7号(第14条、第18条関係)
出火出動時における見分調査書
様式第8号(第18条、第20条関係)
現場図面
様式第9号(第18条、第20条関係)
現場写真
様式第10号(第18条関係)
出動車両及び人員書
様式第11号(第18条、第35条)
火災調査書
様式第12号
死者の調査書
様式第13号(第18条、第25条関係)
不動産り災申告書
様式第13号の2(第18条、第25条関係)
動産り災申告書
様式第13号の3(第18条、第25条関係)
り災物件
様式第13号の4(第18条、第25条関係)
車両・船舶・航空機り災申告書
様式第14号(第29条関係)
火災調査事項照会書
様式第15号(第30条関係)
資料提出命令書
様式第15号の2(第30条関係)
報告徴収書
様式第16号(第30条関係)
調査資料提出書
様式第17号(第30条関係)
資料保管台帳
様式第18号(第32条関係)
質問・証拠物件の調査要請書
様式第19号(第34条関係)
証明交付申請書
様式第20号(第34条関係)
り災証明書