○酒田市障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例
(令和2年3月17日条例第17号)
改正
令和6年3月11日条例第13号
全ての人は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重され、その人にふさわしい生活が保障される権利を有している。
しかしながら、障がいのある人は、障がいに対する周囲の理解不足や誤解、偏見等により不利益な扱いをされることや障がいに対する適切な配慮が十分でないことから、日常生活や社会生活の中で制限を受けることがある。
障がいを理由とするこのような差別をなくすためには、市民一人ひとりが障がいについての理解を深めながら自らの問題として捉え、障がいの特性に応じた適切な配慮について学び、「心のバリアフリー」を実践していく必要がある。
ここに、私たちは、障がいを理由とする差別の解消を推進し、障がいのある人もない人もお互いに基本的人権、尊厳を認め合い、共に生きることのできるまちを目指すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条
この条例は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策を推進することにより、全ての人が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、人格と個性を尊重し合いながら暮らしていくことのできる共生社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、難病を原因とする障がいその他の心身の機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
(2)
障がいのある人等 障がいのある人又は障がいのある人が意思表示を行うことが難しい場合においては、障がいのある人を支援する家族その他のものをいう。
(3)
社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(4)
障がいを理由とする差別 障がいを理由として不当な差別的取扱いをすること又は社会的障壁を取り除くための合理的な配慮をしないことをいう。
(5)
合理的な配慮 障がいのある人の性別、年齢及び障がいの状態に応じた、社会的障壁を取り除くための必要かつ適切な変更及び調整(社会通念上その実施に伴う負担が過度に重いものを除く。)をいう。
(6)
市民 市内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。
(7)
事業者 市内において商業その他の事業を行う者をいう。
(基本理念)
第3条
障がいを理由とする差別の解消の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1)
全ての市民は、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されること。
(2)
全ての障がいのある人は、個人としてその尊厳が重んぜられ、社会を構成する一員として等しく社会参加の機会が確保されること。
(3)
全ての障がいのある人は、可能な限り、生活する地域及び言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されること。
(4)
市、市民及び事業者は、社会的障壁を取り除き、共生社会を実現させるため、連携し、協力して、障がい及び障がいのある人に関する相互理解の推進に取り組むこと。
(市の責務)
第4条
市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、障がい及び障がいのある人に対する市民及び事業者の理解を深め、障がいのある人の権利の擁護及び障がいを理由とする差別の解消に向けて、必要な施策を推進しなければならない。
2
市は、市民及び事業者と協力して、障がいを理由とする差別の解消の推進に取り組まなければならない。
(市民等の役割)
第5条
市民及び事業者は、基本理念に基づき、障がい及び障がいのある人に対する理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策に協力するよう努めるものとする。
2
障がいのある人等は、合理的な配慮が必要なときは、配慮の内容について、周囲の人々に伝えるよう努めるものとする。
(市における障がいを理由とする差別の禁止)
第6条
市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいを理由とする差別をすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。
2
市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がいのある人等から現に社会的障壁を取り除く必要がある旨の意思の表示があった場合には、障がいのある人の権利利益を侵害することのないよう、合理的な配慮をしなければならない。
(事業者における障がいを理由とする差別の禁止)
第7条
事業者は、その事業を行うに当たり、障がいを理由とする差別をすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害してはならない。
2
事業者は、その事業を行うに当たり、障がいのある人等から現に社会的障壁を取り除く必要がある旨の意思の表示があった場合には、障がいのある人の権利利益を侵害することのないよう、合理的な配慮をしなければならない。
(広報及び啓発)
第8条
市は、市民及び事業者に対して、障がいについて学び、理解を深める機会を提供するとともに、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策を推進するため、必要な広報及び啓発に取り組むものとする。
(意思疎通支援の充実)
第9条
市は、意思疎通の困難な障がいのある人に対し、サービス若しくは情報を提供し、又はその意思の表示を受ける場合において、その意思疎通が円滑に行われるよう、合理的な配慮をするために必要な体制の整備その他の意思疎通に関する支援の充実を図るものとする。
2
市は、事業者に対し、意思疎通の困難な障がいのある人に対してサービス若しくは情報を提供し、又はその意思の表示を受ける場合における合理的な配慮の必要性に関する啓発及び配慮の方法に関する情報の提供を行うものとする。
(就労の支援)
第10条
市は、障がいのある人の多様な働き方に対応するため、障がいのある人が必要とする就労に係る支援を行うものとする。
2
市は、公共職業安定所、障害者就業・生活支援センターその他の関係機関と連携し、事業者に対し、障がいのある人の就労に関する制度の周知を図るものとする。
3
事業者は、障がいのある人の障がいの特性を理解し、その雇用の機会を広げるとともに、就労の定着を図るよう努めるものとする。
(相談体制の整備)
第11条
市は、障がいを理由とする差別に関する相談(以下「相談」という。)に的確に対応するため、必要な相談体制の整備を図るものとする。
2
市は、相談を受けた場合は、必要に応じ、次に掲げる対応をするものとする。
(1)
相談者に必要な情報提供及び助言
(2)
相談に係る事実の確認及び関係者間の調整
(3)
関係機関との連絡調整
(協議会)
第12条
市は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する取組を効果的かつ円滑に行うため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第17条の規定により、酒田市障がい者差別解消支援地域協議会を設置するものとする。
(委任)
第13条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月11日条例第13号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。