更新日:2024年8月15日
旧平田町の中央公民館(現平田農村環境改善センター)に、はじめて「夏の日に」の像が登場したのは昭和58年のこと。
以来、まちの各所に設置された彫像は暮しの中で人々の心を和ませ、四季折々の情景の中に存在感あふれる姿を映し続けています。
彫刻のある風景は人々の感性に潤いを与え、物言わぬ彫像が放つ視線はそれだけ深く豊かに、内に秘めた想いを私たちに訴えかけているようです。
緑まぶしい彫刻の散歩道を巡る。アートを通し自分と対話するもっとも贅沢なひととき。
その視線の先にある風景に、ふれてみたい彫刻があります。
旧平田町出身の石黒光二さんは、人物像を中心とした作品を制作している彫刻家です。人体という造形の美しさや、人間の内なるものの表現に魅せられようになったという石黒さんの作品は、平田地域の随所に展示されています。1点、1点、設置される場所との調和を考えて制作された石黒さんの作品は、豊かな自然、風景と見事に溶け合い、輝きを放っています。
彫刻家(日展会員・日本彫刻会運営委員・日本美術家連盟会員)
1952年酒田市(旧平田町)山谷生まれ
1974年多摩美術大学彫刻科卒業、高橋剛氏に師事
1975年日彫展初出品(以後連続出品)
1976年日展初出品
1977年日彫会会友推挙
1980年「流」日彫会日彫賞・日彫会会員推挙
1984年「小鳥」日彫展努力賞
1985年「風の調べ」日展特選
1986年日展無鑑査・日展会友推挙、文化庁現代美術選抜展推薦出品(‘89年同)
1988年「風舞」日展特選
1992年日彫展審査員(‘99.‘08.‘15年同)
1993年「夢につつまれ」日彫展西望賞
1995年日展審査員(‘03.‘10.‘18年同)
1996年日展会員推挙
1998年「幻華」日展会員賞受賞
2011年日展評議員委嘱
2016年「月光」日展内閣総理大臣賞
その他、個展・グループ展多数
現在、日展特別会員・日本彫刻会理事・日本美術家連盟会員
石黒光二氏より寄贈
1976年<昭和51年>完成
設置場所:平田農村環境改善センター1階ロビー
【制作者の願い・作品に込められた思い】
過ぎ行く夏。楽しかった夏の日の想い。
秋冬と季節は変わり、必ずまた新しい夏がやってくる。
思い出と共に前に向かう姿勢を表現するため、三角形の強めのポーズにしました。
ブロンズ像の高さ:1.7m
阿部正氏より寄贈
1987年<昭和62年>完成
設置場所:酒田市立東部中学校
【制作者の願い・作品に込めた思い等】
広い大空を自由に飛翔する鳥のように、限りなく広い道の世界へじぶんの進むべき道を目指し飛びたってほしい。
【広報ひらたより抜粋】
昭和62年11月20日、旧飛鳥中学校(現東部中学校)創立十五周年を記念し設置。
「これまでの伝統を守り、学校を見守り支えてくれた方々へ感謝の気持ちを持ち続け、シンボルモニュメントのように大きく羽ばたいてほしい」と創立十五周年記念式典において、校長先生よりあいさつがありました。
ブロンズ像の高さ:2.2m
1985年<昭和60年>完成
設置場所:平田総合支所
【制作者の願い・作品に対する思い】
流れる風。その旋律に合わせ少女が奏でる笛の音。
そのメロディーは風に乗り、自然に溶け込む。
【広報ひらたより抜粋】
旧平田町では、「風の調べ」が日展特選を受賞したことを記念してその作品を購入、多くの人に作品を見ていただいと昭和62年6月22日に屋外に設置。
花こう岩と黒御影石の台座に乗っており、少女が横笛を奏でている構図で、牧歌的な作品。
ブロンズ像の高さ:1.7m
石黒商店(石黒広泰氏)より寄贈
1989年<平成元年>完成
設置場所:南平田小学校校長室
【制作者の願い・作品に込めた思い等】
友達と仲良く助け合いながら、大きな空のように広い心を持ち続けてほしいと願う。
【南平田小学校より情報提供】
平成元年1月9日設置
ブロンズ像の高さ:1.9m
1988年<昭和63年>完成
設置場所:ひらた生涯学習センター
【制作者の願い・作品に込めた思い】
風が舞う、強風・そよ風・つむじ風・・・
どんな気持ちで舞い踊るのか?それは観る人の心次第で変わる。
【広報ひらたより抜粋】
平成2年8月24日、南平田小学校前庭に「大空」、コミュニティセンター(現ひらた生涯学習センター)に「風舞」が設置され、除幕式が行われました。日展特選作品を直接目で見、手で触れることは、子どもたちに限らず、町民の皆さんに豊かな心と文化に対する認識を深めてもらうことを願っています。若き彫刻家の作品が出身地に設置されることを、みんなで誇りにしたいものです。
ブロンズ像の高さ:2.0m
小野寺欽吾氏より寄贈
1990年<平成2年>完成
設置場所:酒田市立南平田小学校
【制作者の願い・作品に込めた思い】
人にはそれぞれの様々な人生がある。どんな人生を歩もうと、果てしなく広がる大空のように広い心を持ち続けて欲しい。
【広報ひらたより抜粋】
平成2年8月24日除幕式
小野寺先生には、昭和27年から平田町の小学校医として児童の健康管理にあたられ、特に南平田小学校については、一貫して校医を務められ子どもたちの健康管理には並々ならぬご尽力をいただきました。学校医在職の記念にと、小野寺先生より南平田小学校前庭にブロンズ像「大空」を寄贈していただきました。
ブロンズ像の高さ:2.2m
※小野寺欽吾氏の欽の字は、山冠に欽の字が正しい字になります。
1991年<平成3年>完成
設置場所:酒田市立南平田小学校
【制作者の願い・作品に込めた思い】
空・草木・川・・・大自然の輝き。子ども達の持っているキラキラとした輝き。いつまでもその輝きを失わないで欲しい。
不安定な重心で動きを強調した。
【広報ひらたより抜粋】
平成3年7月6日に旧東陽小学校に設置、平成18年3月に東陽小学校が廃校となったため、平成19年10月24日に南平田小学校玄関前に移設。「大空」像と向かい合わせて設置されている。
水・緑・自然の輝きと人の心の中にある輝きをイメージした、子ども二人が今にも元気よく駆け出しそうなブロンズ像。
ブロンズ像の高さ:1.5m
1991年<平成3年>完成
設置場所:酒田市立田沢小学校
【制作者の願い・作品に込めた思い】
誰も一人では生きていけない。人と人との繋がり、その輪を大切にみんなで助け合って未来に向かって飛び出してほしい。
自然の中に拡がりのある楽しい空間を作りたいと思い、構成とバランスに苦労した作品です。
ブロンズ像の高さ:2.0m
1998年<平成10年>完成
設置場所:酒田市立南平田小学校
【制作者の願い・作品に込めた思い】
間と動物のふれあい。ポニーの柔らかなぬくもりは少女の優しさを育む。ポニーは実際に寸法を測った実物大。
【広報ひらたより抜粋】
平成5年12月28日設置
石黒光二さんが動物とのふれあいをテーマにイメージした数枚のデッサンの中から、南平田小学校の児童にアンケートを実施し、採用されたデザイン。石黒光二さんの作品に動物を題材にしたものはほとんどない。
ブロンズ像の高さ:1.6m
1993年<平成5年>完成
設置場所:JR砂越駅
【制作者の願い・作品に込めた思い】
野の花と稲穂を持ち、指し示す先には鳥海山。
大自然に囲まれた美しい町、豊かで心地好い平田の里に栄あれと願う。
【荘内日報・読売新聞より抜粋】
平成5年11月18日に行われた除幕式には石黒光二さんも参加、「作品の名前はすぐ浮かんだが、それをどう表現するか悩んだ。見た人が、のびやかさや、生き生きした楽しい雰囲気を感じ取ってもらえれば幸い」と話している。
JRによると、駅のプラットホームに本格的な彫刻が設置されるのは、県内初、東北でも聞いたことがなく、全国的にも珍しいとのこと。
稲穂と野の花を持った二人の乙女が舞う像で、町の発展を願い伸びやかで楽しい感じが表現されている。
ブロンズ像の高さ:像2.0m
池田拓氏友人等有志より寄贈
1994年<平成6年>完成
設置場所:眺海の森ピクニックランド
【制作者の願い・作品に込めた思い】
アメリカ横断、南アメリカ横断、ただ一人歩き続けた拓君・貴男の偉業は多くの人々の励みとなる。余りに短すぎたこの世界。しかし、別の世界で又、何かを求め歩み続けているに違いない。
【広報ひらたより抜粋】
モデルとなった故池田拓さん=当時26歳は、平成3年に南北アメリカ大陸約2万キロを、たった一人自分の足だけを頼りに3年がかりで縦・横断に成功し、翌4年5月に不慮の事故で急逝しました。この偉業をたたえて、小・中・高校時代の親友らでつくった「池田拓君の足跡を遺す会」がアメリカ縦・横断を達成してから3周年目にあたる平成6年に、酒田市(旧平田町)にブロンズ像を寄贈し、縦・横断を達成した9月15日に合わせて、除幕式がおこなわれた。
ブロンズ像の高さ:1.7m
1992年<平成4年>完成
設置場所:平田総合支所イベント広場
【制作者の願い・作品に込めた思い】
花が舞う。強い風の時は激しく、やさしい風のときはゆるやかに、風と戯れながら・・・
風になびく花を見て連想。像の作る周りの空間を意識した。
【広報ひらたより抜粋】
平成6年7月26日イベント広場南側に設置、石黒光二さんも出席し、除幕式が行われた。
華が風にそよぎ、踊っているような姿をみて、イメージされた作品。
ブロンズ像の高さ:1.9m
1994<平成6年>完成
設置場所:平田総合支所前イベント広場
【制作者の願い・作品に込めた思い】
見つめ合う心は同じ。感じ合う心も同じ。人も動物も一つの家族として慈しみある心が育まれていく。
【広報ひらたより抜粋】
平成6年7月26日イベント広場東側に設置、石黒光二さんも出席し、除幕式が行われた。母と子と、猫のふれあいを通して、いろんなことを感じてもらいたいという願いが込められた、猫がいる、少し違った感じの母子像です。
ブロンズ像の高さ:1.3m
1996年<平成8年>完成
設置場所:平田農村環境改善センター
【制作者の願い・作品に込めた思い】
風には様々な表情があり、時には語り掛けているようだ。風と話し合えたら・・・
風の中に身を任せ、次第に少女も風になり大空を飛び交う。
【広報ひらたより抜粋】
平成8年3月28日除幕式の中で、「おおらかなこの平田の大自然をあらためて見つめ直すきっかけにしてほしい、町民の皆さんにいつまでも愛される作品になってほしい」と石黒光二さんよりあいさつがありました。
旧中央公民館(現平田農村環境改善センター)の前庭に設置するために作成されたもので、女性が風と一体となって飛んでいる様子が表現されている。石黒光二さんの作品としては珍しい鏡面仕上げのステンレスを使用。
ブロンズ像の高さ:1.6m
2001年<平成13年>完成
設置場所:田沢川ダム
【制作者の願い・作品に込めた思い】
男性の右手は天からの雨を指し、左手でそれが荒れくるうことのないよう鎮め、女性は恵の雨が広く大地に染み渡り、豊かな稔りをもたらすことを願う。
全ての生命の源である水への感謝と畏怖の念と祈りを込めて。
【山形新聞より抜粋】
男女が背中合わせに立っているデザインで、「何度も足を運んでデザインしたが、周囲の風景にマッチした」と石黒光二さんも満足な出来栄えに仕上がっている。
ブロンズ像の高さ:2.45m
2005年<平成17年>完成
設置場所:ひらたタウンセンター
【制作者の願い・作品に込めた思い】
広き空、飛び行く鳩、流れる雲。それに合わせ奏でるヴァイオリンの調べはどんな曲なのだろう。
観る人々に響いて欲しい。
【荘内日報より抜粋】
平らな屋根のタウンセンターと音楽活動などに利用されるホールをイメージし、柔らかな雰囲気の作品に仕上がった。彫刻のまちづくりのフィナーレを飾る作品として、旧平田町閉町式(平成17年10月23日)に合わせ、石黒光二さんも出席し除幕式が行われた。
ブロンズ像の高さ:2.2m
1998年<平成10年>完成
設置場所:東北公益文科大学
【制作者の願い・作品に込めた思い】
能面をモチーフにした三部作の中の一つ
古くから伝わる「能」という日本独自の伝統文化を取り入れたいと思い、又、その中の「増」の面の持つ幽玄な表情の美しさに惹かれ、それを自分なりの構成で表現した作品。
【東北公益文科大学より情報提供】
平成3年4月東北公益文科大学開学にあわせ、地元出身者の作品を購入し設置。
ブロンズ像の高さ:2m
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、現在一般の方の見学は行っておりません。
2016年<平成28年>完成
設置場所:酒田市役所
【制作者の願い・作品に込めた思い】
月の形は変われど、それが投げ掛ける光には神秘的な静なる安らぎを覚える。
いにしえより日本人の感性を刺激してやまないその光を女性像の中に表現してみた。日展内閣総理大臣賞受賞を記念して、酒田市が購入
【荘内日報より抜粋】
平成29年10月2日、石黒光二さんも参加した除幕式では「月の光が持つ神秘性や安らぎを、女性像の中に表現したもので、観音像も意識した。当たる光の加減や見る人の気持ちでいろんな表情になる。市民に愛され、親しまれることを願う」とあいさつがありました。
ブロンズ像の高さ:2m
彫刻の散歩道MAP